TO VICTIM
労災被害者の方へ
労働者が労務に従事したことによって被った負傷、疾病、死亡などが労働災害にあたります。労災被害にあった労働者やそのご遺族のために、必要な保険給付を行う制度として「労災保険」があります。労働者やそのご遺族は、労災保険から保険給付を受けるほかに、事業主などに賠償責任を問うこともできます。
また、夏の炎天下、戸外で作業を行っていたところ、手元に水がないので、近所のコンビニまで水を買いに行った帰りに転んで怪我をした場合や昼休み中に食事のため会社の外に出た際に怪我をした場合など、判断が難しい場合もあります。
(労災保険の適用との関係では、前者は労災適用され、後者は労災適用されない可能性が高いと考えられていますが、ケースバイケースでしょう。)
労災保険とは、業務上の事由または通勤による労働者の負傷・疾病・障害または死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。労災保険でいう労働災害(労災)と認められると保険給付がなされます。労災保険においては保険給付のほかに、労働福祉事業を行っています。
その他、場合により、葬祭料、傷病(補償)年金、介護(補償)給付などが支払われます。
労働災害のうち、労働者の「業務上の」負傷、疾病、障害または死亡をいいます。
業務が原因となった災害ですので、業務と傷病等との間に一定の因果関係があることが必要です。業務中の事故をはじめ、過重労働やセクハラ・パワハラなどもこの業務災害にあたります。
一般的に、通勤災害よりも業務災害の方が事業主に賠償請求できる事案が多くなります。事業主への賠償請求については次の項をご覧ください。
労働災害のうち、労働者が通勤により被った負傷、疾病、障害または死亡をいいます。
移動の経路を逸脱し、または移動を中断した場合には、労災保険の適用において、逸脱または中断の間及びその後の移動は「通勤」とはならないとされています。ただし、逸脱または中断が日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、逸脱または中断の間を除き「通勤」となります。
ときどき、「労災保険が適用されたから、それ以上、事業主は責任を負わない」と誤解されている方がおられます。しかし、事業主などは、被災した労働者やご遺族に対して、安全配慮義務違反などを理由として、民事上の損害賠償責任を負い得ます。
※労災保険から既に受領した金額等との調整はなされます。
それ以外にも、刑法上や行政上の責任も発生し得ます。
もっとも、安全配慮義務違反や過失相殺などが争われることも多いので、注意が必要です。
事業主などにお金がほとんどなく、賠償金を払ってもらえないリスクもありますが、元請などに責任追及できる場合もあります。
そもそも、事業主などに対して、「賠償してくれ」とは言いにくいことが多いと思いますので、労災事件を扱っている弁護士に、あらかじめ、ご相談されるのが適切と考えます。